報道関係各位 平成8年3月13日 日本電気株式会社
NECはこのたび、オフィスやキャンパス内のパソコンやワ−クステ−ション上で、テレビ会議システムやVOD(Video On Demand)システムなどのようなマルチメディア情報通信を実現するATM(非同期転送モ−ド)方式(注1)の高速LAN(注2)(ATM−LAN)用機器に最適なLSIを製品化し、「μPD98408」(愛称「NEASCOT−T20」)の名称で、本年6月からサンプル出荷を開始することにいたしました。
新製品は、データ転送速度毎秒25.6MビットのATM−LAN回線を複数収容する集線装置であるハブやスイッチ向けのLSIで、
新製品のサンプル価格は、1万5千円を予定しており、生産規模としては、本年10月以降、月産5千個を計画しております。
ATM通信方式は、音声や動画像、イメ−ジなどのデータ転送速度の異なるマルチメディア情報を効率よく送ることができる方式で、将来の広帯域ISDN(Integrated Services Digital Network)(注4)の中核技術として位置づけられております。また、平成3年にATM方式を用いたLANの標準化を推進するための標準化団体として「The ATM Forum」が結成されてから、オフィスやキャンパス内にある複数のネットワ−クを結ぶバックボ−ン用超高速LANや、CATVサ−ビスのために敷設された光ファイバや同軸ケ−ブルを利用した双方向テレビなどへの応用に関する検討が急速に進み、ATM方式の地位が確立され、現在多数ATMに関する製品発表および出荷が始まっております。
NECにおいても、155.6Mbpsの超高速通信を実現する2チップ構成のATM−LAN用LSIチップセットを「NEASCOT(ニ−スコット)シリ−ズ」の名称ですでに販売しております。
近年では、25Mbps程度のATM−LANをオフィスやキャンパス内の個人で使うパソコンやワ−クステ−ションなどをつなぐデスクトップLANに導入し、MPEG2(注5)などを含むマルチメディア情報通信を手軽に、安価に構築することが検討され、「The ATM Forum」においてデスクトップATMとして平成7年夏に標準化作業が終了しております。新製品はいち早くこの標準勧告に準拠した製品となっております。
新製品の主な特長は次の通りであります。
なお、新製品の主な仕様は別紙をご参照下さい。
以 上
(注)イ−サネットは米国ゼロックス社の商標です。
- (注1)ATM(Asynchronous Transfer Mode(非同期転送モ−ド)):
- 25Mbps、155Mbps等の高速回線を利用して、多様な通信を多重して送受信できる伝送方式
- (注2)LAN(Local Area Network):
- 事務所内やビル内等の狭い区域で、パソコンなどをケ−ブルでつないで、各端末のデ−タのやり取りを可能にするネットワ−ク
- (注3)PHY(Physical Layer(物理層)):
- 物理層は、さらに回線上への送受信タイミングやケ−ブル種別、コネクタ形状などを定めているPMD(Physical Media Dependent)サブレイヤと、セル境界の識別や送受信情報の符号化/復号化などを定めているTC(Transmission Convergence)サブレイヤに分けられています。
- (注4)ISDN(Integrated Services Digital Network):
- 電話、ファックス、デ−タなどの異なるサ−ビスを統合して、一つのデジタル網でサ−ビスする通信網
- (注5)MPEG(Moving Picture Expert Group):
- 動画像とオ−ディオのデ−タを圧縮する国際規格を検討するグループの名称